今回は共同住宅と長屋の違いについて、お話ししたいと思います。
どちらも複数の独立した住戸が集合して全体で一棟の建物になっている建築物ですが、その違いをご存じでしょうか。
共同住宅と長屋の大きな違い
○建物と敷地の関係
共同住宅
イ.各住戸から建物の屋外に行く場合に共用部分(通路)を通る。
長 屋
イ.各住戸から建物の屋外に行く場合に共用部分(通路)を通らない。
○界壁の設置部分
共同住宅
各住戸間の界壁、階段、廊下、ホール、エレベーター等
長 屋
各住戸間の界壁のみ
その他の違いを比較
「モデル:木造、階数≦2 かつ 延べ床面積≦200㎡の一般的な仕様とした場合」
○『建築基準法上の特殊建築物』か否か
共同住宅……該当
長 屋……該当なし
規定の一例
居室の窓その他の開口部
①採光上有効な部分の面積:当該居室の床面積≦1/7
②換気上有効な部分の面積:当該居室の床面積≦1/20
③排煙上有効な部分の面積:当該居室の床面積≦1/50
共同住宅
上記①、②、③の規定の適用を受ける。
長 屋
上記①、②の規定の適用を受ける。
○『消防法上の防火対象物』か否か
共同住宅……該当
長 屋……該当なし
規定の一例
設置すべき消防用設備等
①誘導標識
②消火器
(収容人員が50人未満であれば防火管理者の選任は不要)
共同住宅
上記①、②の規定の適用を受ける。
長 屋
上記の規定の適用を受けない。
まとめ
前述したモデルに関しての規定は、ほんの一部に過ぎません。敷地の条件や建物規模・仕様によっても、共同住宅と長屋では法的に要求されるものが大きく異なります。特殊建築物であり防火対象物となる共同住宅は、共用部分が避難経路となるため、特に厳しい規定が設定されています。