こんにちは。安木です。
今回は、2×4工法の耐力壁線区画について基本的なお話をしたいと思います。
お客様から平面プランを頂いた際に、法律的なチェックと同じくらい重要なチェックが、この耐力壁線区画の確認です。
2×4工法は、「面」で組み立てていく工法で、耐震性や耐風性が「壁」によって確保されている点が大きな特徴です。
耐力壁線のチェックポイント
では、普段、私達がお客様からプランを頂いた際に、どんなポイントをチェックしているのか、実際に一例を見ていきましょう。
はじめに、平面プランニングの原則として、おさえておきたいポイントがこちらです。
- 耐力壁線区画の大きさは原則40㎡までとする。
- 耐力壁線の間隔は12m以下とする。
- 耐力壁線内の開口部にはマグサ(下がり壁)を設ける。
- 耐力壁線の交差部には90cm以上の耐力壁を1か所以上設ける。
- 耐力壁線内の開口部の幅は4m以下とする。
- 1つの耐力壁線内に必要な耐力壁の合計は、耐力壁全長の1/4以上とする。
- できるだけ上下階の耐力壁線のズレは極力なくし、ずれる場合は1グリットまでとする。
※仕様規定の中で耐力壁とされるのは、幅900mm以上の壁です。
(通称:仕様規定)
(建築基準法施行規則第8条の3の規定に基づき、国土交通省告示第1540号、第1541号による)
NGパターン
まずは、NGパターンです。
耐力壁線チェック!
チェックポイント1(仕様規定①についての検証)
①耐力壁線区画の大きさは原則40㎡までとする。
まず一番にチェックする内容として、区画がどこでとれるかを見てみると、区画AとBの場合、区画CとDの場合の2通りが考えられます。
それぞれの面積を計算すると、区画A=45,5455㎡(40㎡を超えている)、区画B=24,0149㎡。
区画C=39,7488㎡、区画D=33,1240㎡となって、区画C、Dの組み合わせが選択されます。
※雁行の長さが2mまでであれば、みなし矩形として形成されます。
チェックポイント2(仕様規定④についての検証)
④耐力壁線の交差部には90cm以上の耐力壁線を1か所以上設ける。
外壁の耐力壁線の相互の交差部に90cm以上の耐力壁がない例
解決策:
窓Aをクローゼット側に移動させる、または、窓Bをトイレ側に移動させて、交差部に90cm以上の耐力壁を設ける。
チェックポイント3(仕様規定⑥についての検証)
⑥1つの耐力壁線内に必要な耐力壁の合計は、耐力壁全長の1/4以上とする。
Y0通りの必要壁量について、壁線長さの1/4に存在壁量が足りていません。
Y0通りはX6通りで雁行しているので、Y0通りの全長は、
㋐5,460mm+㋑1,820mm+㋒1,820mm=9,100mmとなります。
必要壁量は9,100mmの1/4で2,275mmですが、現在のY0通りの壁量は①910mm+②910mm=1,820mmしかありません。
Y0通りの必要壁量について、壁線長さの1/4に存在壁量が足りていません。
解決策:
壁アを910mmの耐力壁にし、壁線区画を雁行区画から矩形区画にします。
Y0通りの全長は㋐5,460+㋒1,820=7,280となり、1/4は1,820mmになりますから、既に存在している壁量(1,820mm)でクリアすることができます。雁行区画から矩形区画にすることで、壁の全長が短くなるので、その分必要な壁量を減らす事ができます。
OKパターン
では、上記の事を踏まえたOKパターンがこちらです。
このように、2×4工法はプランニングをする上で、耐力壁線区画のルールを守りながら進めていくことが大変重要であることがわかりますね。